内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)について

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、高周波メスで病変周囲を切開し、病変下の粘膜下層を剥離していく事により、 腫瘍径が大きな病変でも一括で切除することが可能です。腫瘍を一括切除することにより根治性を高め、 正確な病理組織学的診断が可能となり、その後の明確な治療方針が患者様に提示できる優れた手技です。 また臓器が温存されるため患者様の負担軽減につながり、外科手術が困難な高齢の患者様においても施行可能です。

内視鏡で治癒可能な食道・胃・大腸の早期癌がESDの適応となります。拡大内視鏡を用いて腫瘍の範囲診断、 深達度診断を行うことで、内視鏡治療と外科手術のどちらがよいかを判断すると同時に、 病変の部位や大きさ、スコープ操作性等から術前に治療の難易度を評価し、質の高い内視鏡診断・治療を こころがけています。

以下に当院に紹介受診いただいた早期胃癌のESD症例を提示します。

通常観察およびNBI拡大観察で病変の深達度および範囲診断をします


病変周囲にマーキングし、高周波メスで病変周囲の切開をします


太い血管を適宜止血鉗子で焼灼しながら粘膜下層を剥離していきます


合併症なく剥離が完了し、病変を一括切除しました


瘍は約2ヶ月で治癒します。上記の症例は粘膜内癌で、病理組織学的診断で脈管侵襲陰性、 水平断端垂直断端ともに陰性であり内視鏡的に治癒切除となりました。 脈管侵襲が疑わしい症例に対して適宜免疫染色を追加し、根治度判定の質を高めています。

内視鏡検査の普及、診断精度の向上により早期癌の段階で診断される症例が増えたことから、 当院でもESDの件数は年々増加傾向にあります。早期胃癌はもちろんのこと、 今までは先進医療として行われてきた大腸ESDが保険収載され、 それに伴い当院におきましても従来の内視鏡的粘膜切除術(EMR)で一括切除が困難な症例や、 内視鏡的治療が困難な症例に対して大腸ESDを行っており、良好な成績を残しています。