骨粗鬆症の予防と治療について

講師:山本 愛一郎 副院長・整形外科部長(日本整形外科学会認定専門医)

単なる老化ではなく病気なので、治療が必要です!!

骨粗鬆症は、「骨強度の低下を特徴とし、骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患」(国立衛生研究所)とされ、病気なので、 予防する必要が有り、もし骨粗鬆症になったら治療する必要があります。 国内で、骨粗鬆症の患者数は1,300万人程いると推定され、女性の方が男性の3倍くらい多く、大腿骨頚部を骨折する方は年間、 女性が12万人位、男性は3万人位(2007年調査)います。当院でも毎週、太腿の付け根を折る骨折の手術を行っていますが、そのたびに、 骨粗鬆症の治療が進んでいないことを痛感します。患者さんの中には、右大腿骨頸部を折って、左を折って、 手首を折ってと数カ所連続して骨折する方もいます。骨が折れてからでは、骨粗鬆症の治療は少し遅いので、折れる前に治療を始めてください。

骨の構造と働き

ヒトの体を構成する骨は、全部で206個あります。骨は外側の硬い皮質骨と内側の網目状の海綿骨に分けられ、 内側の海綿骨部分が、通常は詰まっている状態で、骨梁といって、骨を支えているわけですが、骨粗鬆症ではこの1本1本が細くなり、弱くなってきます。 骨の働きは、主に支柱となって体を支え、骨に付着している筋肉の伸び縮みによって体を動かし、頭蓋骨は脳を保護し、肋骨は心臓や肺などを保護しており、 重要な組織を囲んで守り、体の骨組みを維持しています。 また、内臓的には、血液中のカルシウムを一定に保つためのカルシウム貯蔵庫となり、骨髄は赤血球・白血球・血小板などを生成し、 血液をつくって、体の恒常性を維持しています。



骨は常に新しくなっている!?

僧帽弁が狭窄によって上手く開かなくなる病気で左心房に血液が渋滞して体に血液が送り出せないだけでなく、不整脈や肺水腫が生じます。 僧帽弁閉鎖不全症は僧帽弁が上手く閉じなくなるために、左心室から左心房へ血液が逆流して、体に血液が送り出せなくなる病気です。僧帽弁狭窄症と同様の症状が起こります。

心不全の症状と重症度

古い骨を壊し(破骨細胞)、新しい骨を作る(骨芽細胞)ことで、骨は常に新しくなっています。健常者では、この新しい骨を作る量と、 古い骨を破壊する量が等しく、骨の全体量が一定に保たれています。作ったり、壊したりが、年齢とともに変化し、女性では閉経後は古い骨を破壊する方が増えて、 骨量が減ってしまいます。高齢の方では、新しい骨を作る機能が衰えて、やはり骨量が減ってしまいます。原発性の骨粗鬆症では、閉経後や加齢によるものが多いとされ、 そこに運動不足や、ビタミン、カルシウム等の栄養不足といった外的な要因も加わります。最近では、筋肉の量が減ってくるサイコぺニアについて、 内科の先生が警鐘を鳴らしています。筋肉が骨を引っ張ったりする刺激で骨も丈夫になるため、運動が不足すると、筋肉が減り、同時に骨量も減ってきます。 原発性骨粗鬆症(明らかな原因疾患がないもの、閉経後骨粗鬆症、老人性骨粗鬆症または男性骨粗鬆症が多い)と、続発性骨粗鬆症(明らかな原因・疾患が特定されるもの、 甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症、慢性間接リウマチ、糖尿病、慢性腎臓病、アルコール依存、ステロイド服用 等)があります。

骨強度=骨密度(70%影響)+骨質(30%影響)

骨の強度は、骨密度(カルシウム量)と骨質(主に、骨の微細構造、代謝回転、微小骨折、骨の石灰化等)によって決まります。 カルシウムは、海綿骨の骨梁の間を埋めるコンクリートのような役割をしています。

骨強度が低下するとは、

  1. 骨の微細構造の破壊:骨の構造自体が破壊され、骨の持つ体を支える機能が低下します。
  2. 骨代謝回転の関与:骨の破壊・構築のバランスが崩れます。整形外科の外来では、骨密度を測るだけではなく、 どういう傾向の骨粗鬆症なのかを調べて、治療方針を決めています。

大腿骨頚部骨折は寝たきりの原因にも

骨粗鬆症の症状は、骨折で、大腿骨頸部、椎骨、橈骨手首部が骨粗鬆症の三大骨折部位とされています。 転んで横倒しになると、脚の付け根から折れる大腿骨頸部骨折になります。転ぶときに手を付くと手首の骨が折れてしまい、 尻餅をついたときは、背骨がつぶれてしまう椎骨骨折(圧迫骨折)になります。これは、空き缶を縦に潰すような骨折を起こすので、 身長の低下(3㎝以上)、容姿の変化、内臓機能障害、死亡率の増加につながります。 最近、3㎝以上背が縮んだという方は、 痛みがなくても、整形外科で一度調べてください。 手首や背骨の骨折は、手術なしの治療で済むこともありますが、大腿骨頸部骨折は、手術をしないと歩けない状態で、 手術して動かないブランクの期間に運動量が落ちて、杖を突いたり、車椅子になったり、寝たきりにつながることが多くあります。 骨粗鬆症は、寝たきりの原因としては3番目に多くなっています。
≪どのような人が骨折しやすいのか≫検査で骨密度が低いと言われた方、また痩せている方は骨も軽く、弱くて折れやすいです。 それにカルシウムの摂取不足の方、過去に骨を折ったことのある方は、要注意です。それ以外では、喫煙、過量の飲酒、ステロイド使用、 遺伝的要素=骨折の家族歴、運動不足などがあります。 聖路加国際病院の日野原院長や黒柳徹子さん、森光子さんも、長生きして、元気な方は、運動をしている方が多いです。

骨粗鬆症の治療

50歳を超えて心配な方は、まず、骨密度の検査を受けてください。骨折した方は、すでに骨粗鬆症になっていると考えられます。 何か症状があったら、整形外科を受診してください。骨粗鬆症の治療は、骨折の防止が一番重要です。早目にスタートして、生活の質の維持・向上、 それに見た目の維持を目指します。? 骨密度の測定には2種類のⅩ線で骨量を測定するDXAがあります。他に、破骨細胞と骨芽細胞のどちらの働きが悪いのかなどを2,3の血液検査などで総合的に判断し、 骨粗鬆症の型を診断し、治療方針を決めて、薬の種類を選びます。

≪骨粗鬆症の治療薬≫
最近、よく処方されるのはビスホスホネート製剤(破骨細胞の機能・骨吸収を抑制、月1回服用)や半年に1回の免疫を利用して破骨細胞を抑制する注射もあります。 最近、さらに副甲状腺ホルモンの注射(骨を作るのを促す、2年間投与)もあり、いろいろな薬が出ています。

食事はどうすればよいのか?

食事は大切です。

  1. カルシウム:食事として約1g/1日摂取すると良い。牛乳、乳製品、小魚、緑黄色野菜、大豆製品など。 サプリメントや内服薬の場合は、1回に500㎎以内に(心臓病のリスクが高くなる)。
  2. ビタミンD:運動が大事、食品では魚類(サケ、うなぎ、サンマなど)、きのこ類に多く含まれ、日に当たることも必要です。
  3. ビタミンK:緑の葉の野菜、納豆に多く含まれます。
  4. 避けるべき食品は特にないです。

運動はムリせず、継続しましょう!

年を取っても元気で活躍しているのは、身体を動かしている方たちです。骨粗鬆症の予防に、運動は非常に大切です。効果が実証されている運動は、 ①歩行(週に2,3回20分程続けて早めに歩く)、②ランニング:高齢の方はムリの無いように、③抵抗運動:スクワット、ジムでの筋力トレーニング、 水泳など、④太極拳、⑤開眼片脚起立運動:眼を開けての片脚立ち(1分間、1日3回)(どこかにつかまりながらでもOK)などがあります。毎日、続けることが大切です。 骨粗鬆症は予防、治療が必要な病気で、運動・栄養が大切です。50歳を過ぎたら、1度検査を受けてみてください。 病院で骨粗鬆症と診断されたら、薬はきちんと飲んでください。