これからの胃がん検診と胃の最新治療LECSについて

講師:おおたかの森病院 院長 松倉 聡

胃がんについて

がんの部位別の死亡率で、胃がんは男性で第2位、女性で第3位で、がんに罹る人の部位別では男性で1位となっています。 胃がんの原因は、胃の粘膜に起こる炎症が契機となります。その炎症の原因のほとんどがピロリ菌感染によるもので、 他には食事の時の食品添加物や、肉・魚などタンパク質のこげ、かび、塩分、唐辛子などの刺激物や、タバコ、車の排気ガス、 燃やしたゴミから出るダイオキシン、アスベストなどが影響します。 胃がんのステージ(進行度)は、がんの深達度(深さ)、リンパ節への転移の有無、遠隔臓器への転移の有無の3つの状態によって分けます。 胃は5層になっていますが、2層目までの粘膜内や粘膜下層内までに止まり、リンパ節やほかの臓器への転移がない早期胃がんでは9割以上が完治しています。 一方、胃がんが進行して遠くの臓器にまで転移がある場合は、完治が難しくなります。早期発見・早期治療が肝要です。



胃内視鏡検診について

胃がん検診は、これまでバリウムと発泡剤を飲んで、胃の中の粘膜を観察する胃X線検査(感度は70~80%)が中心でしたが、 ほかに胃の中を内視鏡で直接観察する内視鏡検査(胃の中の小さな病変を直接見つけることが可能。胃X線検査でがんなどが疑われた場合に、 確定診断のための精密検査として行われる)、ペプシノゲン検査(血液検査で胃粘膜の萎縮度を調べる。 陽性の場合は検診を受けることが望ましい)や、ヘイコバスターピロリ菌抗体検査(血液検査や呼気検査で、ヘリコバスターピロリ菌に感染しているかを調べる。 感染した人すべてが胃がんになるわけではない)があります。

胃がんの検出には、X線よりも内視鏡の方が優れていますが、これまで内視鏡による検診が行われなかったのは、やはり経費が掛かることや、 設備が整っていない、内視鏡医が少ないなどの環境の問題がありました。

胃がんの早期発見に係る対策として、昭和57年度から胃がん検診が開始され、平成10年度から市区町村が実施する検診に係る指針において、 40歳以上を対象に、年1回の問診及び胃部X線検査による胃がん検診を位置付けています。平成27年の厚生労働省の調査によると、 胃がん検診は99.8%の市区町村で実施されており、加えて約20.4%の市区町村で胃内視鏡検査が、約6.0%の市区町村でヘリコバクター・ピロリ抗体検査及び ペプシノゲン検査が実施されています。

今回は、胃がん検診について、胃部X線検査、胃内視鏡検査、ペプシノゲン検査及びヘリコバクター・ピロリ抗体検査の扱いについて、 厚生労働省の『がん検診のあり方に関する検討会』は2015年7月30日、市区町村が行う胃がん検診において、これまで40歳以上で推奨してきたエックス線検査の他、 「内視鏡検査も推奨する」との提言をまとめ、検査はX線検査と内視鏡検査のいずれかの方法で行い、対象は50歳以上、間隔は2年に1度としました。

平成30年4月から柏市胃がん検診に内視鏡検査を開始!!

柏市の胃がん検診に内視鏡検査を導入するため、平成28年11月に柏市胃内視鏡検診検討委員会を立ち上げ、その検討委員会の委員長に就任して、 『平成30年4月から内視鏡検診を開始する』ため、環境整備を行っているところです。X線検査と内視鏡検査とが選択できるようになりますが、 もしがんが疑われる場合は、内視鏡検査を受けることになるので、最初から内視鏡検査を受けることをお勧めします。 検診の対象が、40歳以上から50歳以上に変更になっているのは、若い人のピロリ菌感染が減少し、若い人の胃がん罹患率が減少しているためです。

当院では、内視鏡センターを昨年2月に開設しており、日本消化器内視鏡学会指導施設に認定されています。 日本のがん検診受診率は20%程度で、欧米に比べて極めて低いのが現状です。皆さんも、胃がん検診を受けてください。

胃の最新治療LECSとは!?

LECSは、腹腔鏡と内視鏡の合同手術のことを指す、Laparoscopy and Endoscopy Cooperative Surgeryの略です。内視鏡治療と腹腔鏡手術を同時に行うことで、 必要最小限の侵襲で腫瘍切除を可能とする新しい手術法です。

胃粘膜下腫瘍をはじめとした疾患において、試験的に行われ、当院でも、昨年8月から開始しています。 現在は胃の粘膜下腫瘍について積極的に適応が広がりつつあリ、一部の施設では早期胃癌にも適応を拡大しています。 しかし、再発のリスク等については、分析が進んでいません。  LECSを行うためには、優れた技術を持つ外科医と内視鏡医が必要であり、当院ではSILS(単孔式腹腔鏡下手術)とLECSを組み合わせることで、 さらに確実で侵襲の小さな治療を行うことができます。