ほんとうは怖い 尿管結石症~最先端のホルミニウムレーザーを用いた結石粉砕治療も

講師:おおたかの森病院 泌尿器科 伊勢呂 哲也 医師

尿管結石とは

尿管結石は良性疾患であり、がんとは違い、すぐに命に係わる病気ではないと、侮っていると怖い病気です。 尿管結石は、尿路に石ができる病気です。この石は、腎臓で作られて、尿管に降りてきます。腎臓にある間は、 腎結石と呼ばれ、石が膀胱にあるときは、膀胱結石と呼ばれます。膀胱の石は、腎臓で作られる場合もありますが、 基本的に膀胱結石は膀胱の中で作られます。

尿管結石になると何が怖いの??

痛みの王様と言われるほどの激しい痛み(尿管が結石で擦れ、尿管が閉塞し、尿が腎臓を圧迫することで起きる)が起きます。 尿管が、腎臓から降りてきた石で閉塞することによって、感染が起きることがあります。尿管が閉塞し尿が排出できなくなり、 腎機能が低下して、腎不全に陥ることや、尿路感染症、腎盂腎炎になることもあります。石があることで尿が流れなくなり、 腎臓が尿を作る働きが悪くなっていくため、早めに治療してください。 腎臓にがんができたとしても、片方の腎臓で生きていくことができます。しかし、石ができる場合は、両方にできることが多いため、 両方が閉塞してしまい、厳しい腎不全になる方もいます。



尿管結石の罹患率

尿管結石に罹る方は、男性の方が女性よりも多く、年々上昇しています。増えている原因としては、食事の欧米化や、 ジャンクフード、それに検査技術が進んだために原因の分からなかった病気が分かってきたことも上げられます。 尿管結石になりやすいのは、40代、50代が最も多くなり、80代の高齢の方は少ないです。

尿管結石の原因となりやすい方の特徴

原因としては、生活習慣、遺伝、体質、年齢、ストレスなどの要因が複雑に関係していると言われています。 腎臓で石が生成されるメカニズムはとても複雑で、未だに解明されていません。 肥満、高血圧、糖尿病といった生活習慣病を患っている方や、親族に尿路結石の既往がある方、水分摂取が少ない方、 それにストレスを感じやすい方がなりやすいとされています。水分摂取が少ない人の場合、砂糖や塩を水に溶かしたとき、 水が少ないと結晶ができてしまうように、水分摂取が少ないと石ができやすくなり、小さな石ができた場合も水分で流されることがなく、 止まってしまいます。水分を摂るようにしてください。

尿管結石の診断 身体所見

尿管結石の特徴的な診断所見は、腰のあたり:背骨のわきにある第12肋骨のあたりに、もの凄い痛みが走ります。 腰が痛いとき、整形外科では動くと痛みが増強しますが、このような激痛が走ることはないため、尿管結石だとほぼ断定できます。 整形外科に行くべきか、泌尿器科に行くべきかを決めかねる時は、腰のあたりを叩いてみると激痛が走るので、そのときは泌尿器科を受診してください。 しかし、尿管結石のある方でも、症状がないときには腰のあたりを叩いても痛みはないので、痛みがないから結石がないとは言えません。

尿管結石の診断 検査

  1. 尿検査:尿潜血反応が出ます。肉眼的血尿が出ることも多々あります。
  2. レントゲン検査:以前は多用されていましたが、石が小さいときなどは分かりにくいので、診断が難しいことがあります。
  3. CT検査:最近の主流で、確定診断のためには欠かせない検査です。石の上の尿管が太くなっていて、石の下が細くなっていると閉塞していることが分かります。

尿管結石の治療 保存的治療

5mm以下の結石は、自然に排出すると言われており、患者さんには積極的な飲水(1日1,500cc以上)と適度な運動 (体を動かさないと、尿管も動かないため排石されません)を指導します。 自分で排石したか分からない場合や、残石がある場合もあるため、1ヶ月ごとのCT検査を行います。 5mm以上の結石でも、まずは保存的治療を試みます。

尿管結石の治療 保存的治療

保存的治療を行っても排石しない場合、患者様と相談して外科的治療を行う場合があります。 外科的治療には、①体外衝撃波、②内視鏡的尿管結石破砕術、③開腹尿管切石術(お腹を切って石を取り出す手術で、 体への負担が大きく、現在ではほとんど行われていません)

体外衝撃波 ESWL

音波の一種の衝撃波を、皮膚表面から結石に対して当て、結石を破砕します。破砕して細かくなった後は、自排石を促します。 治療中、非常に痛いのと、内視鏡的治療に比べて、硬い石の場合は割れないことも多く、衝撃破による腎損傷が起こる場合があります。

内視鏡的結石破砕術

レーザーを用いる治療法です。直接カメラで結石を同定し、レーザーにて結石を破砕します。結石は、内視鏡の先にあるバスケットで、 全ての石が回収できます。治療成績は、体外衝撃波に比べて圧倒的に良いです。体外衝撃波は、石のある場所によっては破砕できない場合もありますが、 レーザーでは全ての結石に対応できます。結石をどのような治療法で取り出すかは、ガイドラインという治療の基本指針に沿って選択し、患者さんと相談して決めます。

水分摂取と生活習慣病の予防を!

結石は痛みだけではなく、腎不全や感染に陥ることもあります。治療では、まずは保存的治療で、自排石を試みます。 自排石が不可能な結石に対しての治療:内視鏡的治療が、体外衝撃波に比べて治療成績が良いです。 結石予防として、今からできることは水分摂取と、生活習慣病の予防です。