胆石症の診断と治療~胆石症は当院では内視鏡・腹腔鏡で治療できる

講師:おおたかの森病院 消化器外科部長 谷崎 裕志 医師

胆石症とは?

胆石症とは、肝臓で作られた胆汁が流れる道である胆道(管)内に、石(結石)がある病気です。 胃の上に肝臓があり、肝臓で作られた胆汁を貯めておくところが胆のうです。 胆のうに石ができるのが、胆のう結石で、肝臓の中の胆管内に石ができるのは胆管結石、 総胆管の中に石があるのを総胆管結石と言い、この3種類に分かれます。

胆石症の頻度とリスクファクター?

胆石症にかかる人は、日本では5%ほどですが、肥満人口、アルコール摂取・消費量の増加が、胆石保有率の増加に影響しているとされ、 リスクファクターとして、40代後半で、女性,肥満,白人,多産,経産婦の方に多いと昔から言われています。 他には脂質異常症、食生活習慣(総カロリー数、炭水化物、糖質、動物性脂質の過剰摂取、身体活動の低い生活、絶食)、急激なダイエット、 胆のう機能低下、腸管機能低下等が挙げられます。



胆石のリスクを低下させる要因:胆石のリスクを低下させる要因として、果実、野菜、ナッツ類、 多価不飽和脂肪酸(イチゴやグレープフルーツの種や、えごまなどに多いオイル)、植物性たんぱく、食物繊維、 カフェイン、適度な飲酒(アルコール)、適度な運動などが良いとされています。 また、ヘリコバクターピロリ属菌や喫煙との関連性は低いとされます。
胆道(胆管)内胆石症の頻度
石ができやすいのは、胆のう・胆のう管(71%)が最も多く、肝内胆管(3.5%)、肝管・総胆管(14.1%)となっており、 最近では男性の割り合いの方が女性よりも多く(1対0.87)なっています。

<胆石の種類と成因>

  1. コレステロール結石:遺伝子異常などの遺伝的背景の関与が強いとされ、胆汁中コレステロールが固まって結晶化したもの。 白い石が充満して、胆のうの収縮機能が低下します。最近では、細菌感染の関与も指摘される。
  2. ビリルビンカルシウム石:胆汁中のビリルビンカルシウムなどが結合した褐色の石で、腸の中の細菌感染が原因で発生する。
  3. 黒色石:無菌の状態で、胆汁中のビリルビンとタンパク質が結合したもの。真っ黒い金平糖のような石で、胆のう内に数10個単位で存在することが多く、 大部分は溶血性貧血、肝硬変症、心臓手術後など、赤血球が破壊されて多量のビリルビンが生成されるときできやすくなる。

総胆管結石の成因:総胆管結石は、胆のう結石の落下を除くと、胆道感染によるものがほとんどで、ビリルビンカルシウム石の頻度が高い。
肝内結石の成因:肝臓の中の胆管に結石ができる。基本的には総胆管結石と同じで、細菌感染と胆汁の流れが阻害されることが主な成因で、非常に肝内癌になりやすくなる。

胆のう結石の自然史は?

胆のう結石の症状のある人は、40日の手術待機期間により強い症状を認めた人は5%程度、その1/3は過去にも重篤な症状が出ています。 無症状胆のう結石の場合は、毎年2%の人が軽い症状があり、1.3%が中等度、0.2%が重篤な症状を示します。 約9年の経過観察では、10%の人に症状が出たと報告されていますが、症状のない胆石の方は ほとんど無症状のままなので手術はお勧めしません。 重篤な症状としては、急性胆のう炎、黄疸、膵炎があり、最も頻度が高いのは急性胆のう炎です。

急性胆のう炎発生のメカニズム

胆石が胆のう管の中の胆汁の流れを阻害してしまうことで、胆のう内に胆汁が滞り、胆のうの粘膜を傷害して炎症を起こし、 胆のうが一杯に膨らんで、亀裂が生じたりして胆汁が漏れ出すこともあります。 急性無石胆のう炎は、胆のう内の胆汁の流れが悪くなったものと、胆のう壁の血流障害によるもの、アレルギー、A型肝炎ウイルス、 EBウイルス等のウイルス感染、サルモネラ菌、チフス菌や菌血症による急性胆のう炎も報告されています。細菌感染と胆汁うっ滞がその主な成因となります。 急性胆管炎の多くは、結石による胆管閉塞と、胆汁中の細菌増殖(胆汁感染)により起こります。

胆のう結石症は胆のうがんのリスクファクターか?

胆のうがんのリスクファクターであるとする確証はでていませんが、胆のう癌の方は胆のう結石を合併していることが多いため、 注意深い胆のう壁の観察が必要です。胆石の保有期間が長いほど、結石が3cm以上と大きく、結石量が多いほど胆のう癌の発生率は高くなります。 胆石による胆のう粘膜への長期間の刺激が胆のう癌の発生原因になっている可能性が高いです。

胆のう結石症は肝内胆管がんのリスクファクターか?

肝内結石症の4~12%に肝内胆管がんの合併があり、その90%以上が結石のある部位と一致しています。初回治療後、経過観察中のがん発生は7.3%に認められ、 治療後も2~14年(平均8年)に発生がありました。肝内胆石症で、肝内胆管がんを合併した場合の3年生存率は、0~11.8%と報告されています。

胆石発作とは?

胆のう結石の主な症状は、お腹のみぞおちの辺りが急に痛くなる胆石発作ですが、ほかに発熱、黄疸、嘔吐、悪心などがあります。 胆石発作が起きるのは、食後、食べ物を消化する過程で発症することが多いため、夕食後から朝にかけて起きることが多いです。 病院では、腹部超音波や採血、腹部CT、MRI(MRCP)、ERCP(内視鏡的逆行性胆膵管造影)等で検査して、胆石症かどうか、結石がどこにあるのかを診断します。
胆のう結石症例の合併症
胆のうに炎症が起きると、急性胆のう炎になり、胆管に炎症が波及すると、急性胆管炎を合併します。

無症状胆のう結石は治療すべき?

胆のう壁を十分に評価できる無症状胆のう結石の場合は、治療は行わないことをお勧めします。ただし、肝機能障害、がんの可能性を考慮し、 年に1回の腹部超音波検査を行い、経過観察はしてください。 有症状の胆のう結石の場合は、胆のう摘出術を行う事を推奨します。特に急性胆のう炎を発症した場合は、胆のう摘出術が第一選択となります。 高齢(75歳以上) の方には、有症状胆石がある場合は予防的な胆のう摘出術を薦めています。できるだけ急性胆管炎、閉塞性黄疸を伴わない間に手術することが望ましいです。 手術を希望しない場合は、適応があれば経口溶解療法あるいはESWLを行う方法もあります。

手術は腹腔鏡下胆嚢摘出術が第1選択か?

腹腔鏡下手術に十分な経験を有する施設では、腹腔鏡下胆のう摘出術が第一選択の術式です。ただし術前、術中に胆のう癌を疑う場合は、開腹手術に移行することがあります。 高度炎症例で、原因が特定できない場合は、開腹術で開始、もしくは術中に開腹術に移行することがあります。 術中の合併症として、胆管損傷、出血、他臓器損傷などがあり、術後合併症には、後出血、胆汁ろう、創感染、肩痛、皮下気腫などがあります。
胆石溶解療法:胆汁酸製剤による経口溶解用療法は胆のう機能正常例のX線陰性コレステロール胆石に対して有効で、行うことを提案します。
ESWL(体外衝撃波結石破砕装置)による治療…胆のうの機能が正常で石灰化が無いコレステロール胆石に対しては有効ですが、他の結石には無効です。

急性胆のう炎合併症の治療は?

早期の胆のう摘出術を行う事を推奨します。他に疾患がある場合や、全身状態が悪く手術リスクが高い場合や、臓器障害を伴う重症例は、 胆のうドレナージを行い、全身状態改善後に胆のう摘出術を行います。
無症状総胆管結石は治療すべきか?…無症状の総胆管結石は、いずれ胆管炎などを発症するリスクがあり、治療することを勧めます。
総胆管結石の治療は?…内視鏡的総胆管結石除去術、または外科的総胆管結石砕石術を行うことを推奨します。
胆管炎合併症例の治療は?…内視鏡的胆管ドレナージ術、または内視鏡的総胆管結石除去術を行うことを推奨します。

当院では、体に負担の少ない腹腔鏡で胆のう摘出術を行うのみならず、さらに1つの孔で行うことで術後の傷が目立たない単孔式腹腔鏡下胆のう摘出術(SILS)も行っています。 胆石症は的確に診断し、しっかり治療していくことが大切です。当院では、胆石症は内視鏡・腹腔鏡で治療でき、さらにはSILSによる治療が可能です。 胆石の症状のある方は、消化器科にご相談ください。