ピロリ菌と胃癌に関する身近な疑問にお答えします

講師:おおたかの森病院 消化器・肝臓内科 医長 安達哲史 医師

ピロリ菌と胃癌の関係

胃癌の原因の99%以上が、ピロリ菌です。ピロリ菌により胃内部で炎症が起こり、胃粘膜の遺伝子変異が蓄積され、胃癌ができる原因となります。 そのため、ピロリ菌は、早期に発見して除菌するほど胃癌に対する予防効果が高いとされており、20歳までに除菌すれば、 ピロリ菌に感染したことのない人の胃癌の発癌率と同等と言われています。 逆に、高齢での除菌はあまり効果が高いとは言えません。また、除菌後も内視鏡検査で定期的なフォローアップすることが胃癌の早期発見のコツです。



ピロリ菌除菌までの経緯

  1. 内視鏡検査で、胃炎・胃潰瘍・胃癌等が見つかり、ピロリ菌の検査を施行
    →3種類の投薬によるピロリ菌の一次除菌
  2. 健診等でピロリ菌の検査を施行
    →保険診療の決まりにより、内視鏡検査後にピロリ菌の一次除菌

ピロリ菌除菌の注意点

  1. 逆流性食道炎がある場合
    →除菌により胃粘膜の働きが正常に戻るため、一時的に症状が悪化する場合があります。
  2. 除菌薬と飲み合わせが悪い薬を服用している場合→服薬の中止や変更が必要です。
  3. ペニシリンアレルギーの場合
    →一次除菌、二次除菌ともに保険診療の範囲内で除菌はできません。
  4. 高齢になるほど除菌のメリットが減少します。

ピロリ菌の検査一覧

  1. 迅速ウレアーゼ
    →内視鏡検査で組織をとってピロリ菌の有無を調べます。とった組織にピロリ菌がいなければ陰性と出てしまい、偽陰性がある検査です。
  2. 呼気テスト
    →空腹時に薬を飲んで息を吐き、調べます。胃全体を調べられるので、感度・特異度ともに高い検査です。除菌後にピロリ菌の有無を調べるのに適しています。
  3. 便中抗原
    →大腸の便潜血検査と同様、便を提出し、ピロリ菌の有無を調べます。
  4. 採血によるIgG抗体測定
    →ピロリ菌が身体の中にいる場合、それに対して免疫細胞が作るたんぱく質である「抗体」を調べる検査です。 そのため、今現在 感染しているか、昔感染していたか、正確な区別がつきません。

ピロリ菌が関連する病気

  1. 胃十二指腸潰瘍
    ピロリ菌は、胃十二指腸潰瘍の原因菌です。ロキソニンなどNASID(痛み止め)服用も原因となります。 出血性の場合、内視鏡の止血鉗子で焼灼して止血します。通常は、止血後1週間で退院可能となり、その2か月後に潰瘍が瘢痕化したらピロリ菌を除菌します。
  2. 胃癌・胃腺腫
    ピロリ菌陽性胃粘膜から発生した早期胃癌は拡大内視鏡を使用して、胃粘膜表面の色や形状を丁寧に観察します。 胃粘膜内にとどまっている癌は内視鏡的に切除が可能です。
    ~内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)とは?~
    内視鏡を使い、高周波メスで胃の粘膜を切除し、粘膜下層を剥離することで癌を切除する手術です。 2006年に胃癌、2008年に食道癌、2011年に大腸癌に対して保険適用となり、一定水準を満たした施設では安全に受けられる手術となりました。
    ★当院は、「早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術」の認定施設です!
  3. 萎縮性胃炎
  4. 胃MALTリンパ腫
    約90%がピロリ菌陽性で罹患します。

■胃カメラは・・・
内視鏡的切除が可能な段階で胃癌を診断するには、1年に1度受けるのが望ましいです。
■大腸カメラは・・・
大腸癌手術後は1年に1度、ポリープ切除経験があれば3年に1度をおすすめします。

NEWS!
柏市では、平成30年度から50歳以上の胃がん検診に内視鏡検診を導入するべく準備が始まっています。