~手遅れにならないうちに早期発見を!~膵癌の診断と治療について

講師:おおたかの森病院 院長 松倉 聡 医師

膵がんとは

■がんの臓器別死亡数
男性では、肝臓がんに次いで5位ですが、増加しているといわれる前立腺がんより多くなっています。 女性では、大腸・肺に次ぐ3位で、話題になっている乳がんよりも多くなっています。 全体で第4位、3万3千人ほどが亡くなっています。(厚生労働省「平成28年人口動態統計の概況」より)

■年齢別膵がん罹患率
男女共に、若い方は少なく50歳位から罹患者が出始めます。 そして、60歳位から増え始め、70~80歳代で患者さんが多くなります。 これは年齢を重ね、細胞分裂を繰り返す中で細胞が欠損してしまうことが主な原因です。
※膵がんは、死亡数・罹患率共に、年々増えています!



膵がんの診断

1.学会のガイドラインに従い、症状によって血液検査(腫瘍マーカー・膵酵素)と超音波検査を膵がんの高リスク群に定期的に実施します。
《膵がんの症状とは?》
・腹痛 41% ・黄疸 15% ・背部痛 8% ・食欲低下 7% ・体重減少 6% など…
《膵がんの高リスク群とは?》
・家族歴 膵癌 13倍 ・合併疾患 糖尿病 1.8~2.1倍 ・喫煙 2~3倍 など…
※男性では禁煙により膵がんの22%は予防できると期待!

2.腫瘍マーカーの上昇や超音波検査での異常所見があった場合、CTやPET・細胞診などの精密検査の結果で診断します。
~CT~ 造影CTは膵臓の検査として有用です。

膵がんの治療

・StageⅠ~Ⅳaで手術可能な場合
⇒外科手術+化学療法(抗がん剤治療)
・StageⅣa,bで切除不能な場合
⇒化学療法(抗がん剤)+放射線療法
※通常、胃がんや大腸がんのStageⅠ(腫瘍が2㎝以下・リンパ節転移なし)の場合、抗がん剤治療はしませんが、 膵がんは治癒手術後の再発も多い為、たとえStageⅠでも抗がん剤治療が必須になります。

《膵がんの手術》
膵頭部がん
⇒膵頭十二指腸切除術
(要7~8時間)



膵体尾部がん
⇒膵体尾部切除術
(要3時間)



《膵がんの予後》
・通常膵がんの切除例⇒5年生存率は10~15%
・切除不能例の通常膵がん⇒5年生存率はほぼ0%
ただし!
StageⅠの5年生存率は、52.5% StageⅡでは、46.2%と格段に高くなります。
★膵がんは、早期発見がもっとも大切です!
しかし…
早期膵がんは、ほとんどが無症状で腫瘍マーカーも高くない為、症状の出る頃には進行しています。
⇒無症状のうちに検査で見つけることが大事です!

膵がんの高リスク群として注目されている 『膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)』とは?
年率1%の確率で癌化すると言われる膵腫瘍の一種です。膵管の中に、乳頭状に増殖し、粘液を産生することで膵臓の中に嚢胞をつくる疾患です。

まとめ・・・膵がんから身を守るために

  • 腹痛や背部痛、食欲低下、体重減少、黄疸等の症状があったら早めに受診してください。 胃カメラで異常がなくても超音波検査や造影CTを行った方が良いです。急に糖尿病が悪化した人も要注意です。
  • 早期発見の為、家族に膵がんになった人がいる人やIPMNの診断を受けた人は定期的に検査を受けましょう。 また、禁煙することで膵がんにならずに済む可能性があります。